コラム

設計基準から考える架台の腐食対策

今年7月、太陽光発電設備の設計基準が改定された。

以前に設計基準と事業者評価制度の関わり設置基準改定とその後という記事でこの話題に触れた。

 

そしてさらに2018年度中に改訂されるという。

改定項目の中の「腐食」について、事例と対策方法の追加が行われる予定である。今回は腐食について語ってみたい。

 

アルミ架台なので大丈夫?

太陽光発電設備の最大の味方は天候であり、最大の敵でもある。発電量についても、設置条件の面から言っても頷けるところがあるだろう。架台の材料が金属が主流である以上、錆や腐食に対しての対策はきちんと考えておかねばならない。アルミは錆びないから大丈夫、といわれる方もいるだろう。アルミは、鉄と同じような「錆」は発生しないが、実は「腐食」や「劣化」はアルミにも起きるのである。

 

アルミの劣化とは

種類の異なる2つの金属を接触させ、そこに水分があると接触面から劣化し、腐食していく「電蝕」という現象が起きる。金属の組み合わせにより起きやすさの差はあるが、避けることは難しい。同じ金属同士で組む、樹脂パッキンなどを間に入れる、といった対応もあるが、コスト面や、固定強度の問題が発生することがある。電蝕が起きないように、とオールSUSの架台で設置したとしたら、20年経っても償却できていないだろうし、逆に固定ボルトもすべてアルミで、とすると、5年も持たずにボルトがちぎれてしまうだろう。

 

アルミの型材をステンレスのボルトで留める、あるいは亜鉛メッキを施した杭基礎にアルミの架台を設置している、ということはよく行われている。この2種類の金属が接触している面から「電蝕」が起き、腐食していくことがあるのだ。「電蝕」部分の見た目は、まるでさびのように見えることがあり、ドライバーなどでつつくとぽろぽろと崩れるように剥離することがある。ただし、必要以上に恐れる必要はない。きちんと見回りを行い、腐食状況を把握していれば致命的な状態になる前に、その型材を交換するなど、手を打つことができるだろう。電蝕の進行はその地域の雨のph値にもよる。

 

では、アルミ自体はどうだろうか。架台の型材は、アルマイト加工され、さらに表面にクリヤ塗装されている。表面がコーティングされているから大丈夫なのでは?

 

実はボルト留めするために、現場で孔あけ加工をするため、アルミの地金とボルトが直に接触するのである。この断面から電蝕が進行する。また、表面にクリヤ塗装・アルマイト加工についても寿命がある。自宅のベランダの手すりなどが、白い粉をふいたような状態になってしまったものを見たことがないだろうか。これは直射日光にさらされて、表面のコーティングがはがれてしまって、「白化」と呼ばれるアルミの劣化現象である。

 

実はアルミの「白化」は、何年たったらこうなる、というものではない。露天にさらされたアルミのクリヤ塗装とアルマイト層がはがれてしまうのには、日射(主に紫外線)と雨による浸食、大気中の物質などにも影響を受ける。一般的には7~8年経ったら、白化してもやむを得ないのではないかと考えられる。まさか現場で組みあがった架台にアルマイト加工を施すわけにもいかないだろう。やはり致命的な状況になる前に、こまめなチェックで発見しておき、随時対策をとっていくしかない。ただし、白化が起きたからと言って、アルミの強度が低下するわけではない。地金自体にヒビや割れなどがないか、日常の巡回で気を付けておくことが重要だ。また、架台の桁交換など、部分的な補修についても日ごろから相談できるO&M業者を作っておくことが肝要だ。

 

杭は大丈夫?

では、杭に目を向けてみよう。一般的な杭基礎、スクリュー杭は溶融亜鉛メッキ処理されたものだ。腐食対策で重要なのは、この亜鉛めっきの付着量である。架台設計のガイドラインには「腐食対策は地上200mm以上、土中300mm以上に対策を取っておく必要がある」と明記されている。

 

亜鉛めっきの耐腐食性については、JIS H 8641「溶融亜鉛めっき」について規定されている。抜粋すると、「亜鉛めっき平均腐食量 20g/㎡・年の塩害地で・・亜鉛めっきの90%が失われる状態まで至る年数は13.5年・・」とされている。換算すると、「付着量 450g/㎡以上 膜厚 63μm以上」あれば、20年以上の耐腐食性が期待できる数字となる。(ユニバーサルエコロジー株式会社 社内にて換算)

 

杭の仕様書も竣工図書に収められているはずである。一度、図面でメッキの厚さを確認してみたらどうだろうか。

 

(文:太陽光発電TIMES編集部 H. )

 

参考:

“太陽光発電の「設計ガイドライン」が改定へ、押さえておきたい要点は?”. スマートジャパン. http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1807/05/news022.html, (参照2018-10-04)

“JIS規格(H 8641)抜粋”. 一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会. http://aen-mekki.or.jp/mekki/tabid/107/Default.aspx, (参照2018-10-04)

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